田舎

田舎:アトリエ永日

生活様式が近代化となっていく中で

たくさんの懐かしく感じるものがなくなっている気がします。

祖父の家は岐阜の山のてっぺんに位置し、

隣家までは少し歩かないと伺えないような いわゆる田舎でした。

現在は建て替えて少し近代的な家になってしまったが、それまでは

玄関は裏の勝手へと続くボコボコの三和土

上がり框ではなくもはや腰掛けになっている段差

障子で仕切られた畳敷きの部屋

という民家でした。

その時は「よくこの家で暮らせるものだ」と思っていましたが、

今思うと思い出す光景はただ懐かしいと言うだけでなく、

美しいと感じることがたくさんあります。

縁側で聞いていたヒグラシの鳴き声

襖やガラスが挟まった格子障子は向こう側の空気がなんとなく感じられ、

夜は怖かったなーっとか

玄関の腰掛けで近所の婆さんと話してたなーっとか

人を感じる場や想像を掻き立てる空間であったように思います。

最近目にする住宅には、近代化による性能や快適さはあるかもしれませんが、

なんだか寂しさも同時に感じてしまいます。心があまり動かされません。

それは奇抜さを求めていたり、新規的な意匠のコピペにつぐコピペで劣化しているものが多く本質的なところが弱く感じ、見栄の先だなぁと。

嘆いた文章となってしまいましたが、

施主がいての僕ですので、可能な限り要望に応えつつ、現代的な設えに加え、上記のような感覚を感じれる空間を作っていきたいと思います。

それに合理的であれば意匠を捨ててもいいかもしれません、どのような選択をしていくかは施主と打ち合わせを重ねる中で決まっていきますのでご安心ください。

こういった過程も楽しんで設計しておりますので、

一緒に楽しんでもらえたら幸いです。

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