一般的に依頼する建築設計事務所を探す場合、雑誌やSNS、ホームページをご覧になって好みの意匠を手掛けているところへ問い合わせるかと思います。しかし、意匠の好き嫌いだけで依頼を決めきってしまうことは一先ず控える方が良いと思います。
住宅は特にプラン検討から始まり完成までがゴールではありません!
工事が終わったあとでも、不具合や手直しなどでお付き合いしていくことになります。ですので、その時だけではなくずっとお付き合いできるかどうかが意匠と共にとても大切な選択基準となります。
その判断基準は、お話をしていく中で、意見をしっかり理解しプランに反映されているか、プラスαの「何か」を提案してもらえるか、真摯に向き合っているかが分かりやすい基準になるのかなと思います。また、良いことばかり並べるのではなく、その物事に対してメリット・デメリットをしっかり伝えてくれるというのも大切ですね。
多くの個人設計事務所は設計と監理の二つを業務としています。設計についてはイメージし易いかと思います。監理というのは実際に現場が滞りなく進むよう、作製した図面を基に現場をチェックすることを指します。たとえ設計が素敵でも監理がしっかりできないと、少し違った空間となってしまったり、関係性が悪化してしまうこともあります。。。
ですので、設計と同じくらい監理も大切な業務となります。
ハウスメーカーや工務店では自社内で担当者が違うこと(設計部隊、現場部隊みたいに)も多々あり、効率化され快適な面もありますが、各担当者によって熱の違いや想いの差というのが発生することもたまにお聞きします。
その点、個人の設計事務所では小規模なためボスの意向がかなり反映されており、監理業務に関しても特色が出やすい環境となっています。
ただ、依頼先を決めるタイミングでは設計士にこの監理能力があるかどうかは現場が始まっていないので非常に分かりにくいです。
ですので打合せを行っていく中で、コミュニケーションを円滑にできるイメージが沸くか、物事に対してはっきり言うことができるか、施工会社の選定方法や資材の流通・コストが分かっていてるか、現場にはどのくらいの頻度で向かうか、などを感じ取ることが大事となってきます。
また、設計事例を見る際の注意点ですが、あまり細かい部分にこだわらないことです。それぞれ施主の要望を反映して進んでいくので、例えば木材の色や、吊るされた照明など施主か設計者かどちらが決め切ったことかまでは分かりませんよね。なので、複数の設計事例の中から共通して伝わってくるイメージや考え方、意匠的にまとまっているかなど大枠として読み取ることが大切です。
設計者とは所謂デザインする人と思われがちですが、
僕はコミュニケーションの仕事だと思っています。
そして、毎日の生活が少しでも簡潔に、便利に、さらにその空間が豊かであれば人生を変えてしまう力があると信じています。