金華山のふもと、どこか時間の流れがゆったりとした住宅地。
この場所で、新しい住まいの建築がはじまります。
先日、地鎮祭が執り行われました。
朝から澄んだ青空が広がり、山の稜線もくっきりと浮かびあがっていました。
この日もかなり暑い日でしたが、山の麓のせいか、
通り抜ける風は街中の熱気とは違って、
肌に触れる空気が涼しく、心地の良い風でした。

今回の計画は、焼杉の外壁と薪ストーブを備えた平家。
とはいえ、ただ“新しくつくる”のではなく、
この土地にあったものを丁寧に受けとめながら、
新しい暮らしを“重ねていく”ような家づくりです。
分譲地のように、まっさらな土地では得がたい「引き継ぐ」という感覚。
今回は建て替えであることもあり、石や植栽などの外構はできる限り残し、
前のおうちが纏っていた空気を少しは継承していく想いもあります。
そして、この地は「埋蔵文化財包蔵地」にも指定されています。
着工前には、役所の立会いや調査が必要で、もしも柱の跡や遺物、
いわゆる“蓮騎士”的な痕跡が出れば、本格的な発掘調査が入り、
工事が止まってしまうことになります。今回は幸い、なにも出ず、
予定通りの着工が可能に。
ですが、設計の立場ではなく僕個人としては、
何か出て来てほしいというワクワクの気分でもいました。


解体後には地盤調査も入り、改良工事不要という結果に。
よくある更地からの計画の場合、設計段階で地盤調査を入れれるので改良工事の要否が分かり、初めから予算に組み込んでおけるのですが、解体も含む工事では解体後でないと調査ができない。
ですので、施主さんからすると改良工事費用にやきもきすることになりますね。
そして、工務店のおじさんと汗垂らしながら一緒に地縄を張り、
建物の配置と規模感が分かるような状態にしてからの地鎮祭。
岐阜のシンボルでもある金華山麓の地に、
横長の平屋、しかも焼杉、薪ストーブ、コンクリート擁壁は杉板型枠。
楽しみな計画です。
