2025年からは建築に関する法が大きく改正されるということでなんとなくみんなざわざわしています。
そもそもの建築基準法が古びたものとなっているため、改正するのは当たり前だと思っていましたが。
ただ、小規模なおうちの設計を生業としているものとしては、4号特例という簡易的な資料で確認申請を通せていたものが、提出する資料が増えることになるので、少し「うっ、、」と、くらった感じになっています。
また、断熱・省エネ基準に適合化している旨の資料を提出する義務も始まります。
近年の異常気象、資材高騰などもあり、ZEHや長期優良住宅、気密、断熱のような性能面を求めることが当たり前となりました。わたしたちのような個人設計事務所では、どうしても意匠のことに目がいきやすく、構造や省エネについて語られることは少ないように感じます。
アトリエ永日では構造に関しては、希望があれば耐震等級を出してもらうよう構造計算を依頼します(希望がなくとも等級2,3相当で検討しています)し、断熱性能、省エネ性能に関しても計算しています。
参考までに直近で設計しているおうちの断熱・省エネ値を記載します。
現在建築中の「猫ちゃんと暮らす平屋」では、中庭に面するリビングと玄関は木製の框引き戸とし、それ以外の開口部はアルミサッシ(防火認定品・複層ガラス)。太陽光なし。
■外皮平均熱貫流率UA:0.36W/m2k
■冷房期の平均日射熱取得率:1.6
■暖房期の平均日射熱取得率:2.3
■BEI:0.65
計画がまとまり、実施図面を進めている岐阜市の「焼杉の平屋」では、
同じように、中庭に面するリビングと玄関は木製建具とし、それ以外の開口部はアルミサッシ(防火認定品・複層ガラス)。太陽光なし。
■外皮平均熱貫流率UA:0.38W/m2k
■冷房期の平均日射熱取得率:1.4
■暖房期の平均日射熱取得率:2.5
■BEI:0.64
最近やっと敷地を触り始めた自邸(平屋)では、
北側のみアルミサッシ(防火認定品・複層ガラス)、他は木製建具とし、太陽光なし。
■外皮平均熱貫流率UA:0.45W/m2k
■冷房期の平均日射熱取得率:2.0
■暖房期の平均日射熱取得率:2.3
■BEI:0.68
平屋でも思っていた以上に数値は悪くないように感じます。
上記3邸とも部分的に天井を少し高くしている空間はあるものの、基本的には天井高さを抑えていたり、大きい開口となるところは軒を出して冷房期、暖房期のバランスに配慮する、やたらと窓を設けないなど、、が影響しているのかと思います。
UA値は6地域(岐阜市)であれば断熱等級6を満たし、BEI値ではZEH+基準を満たしている(再生可能エネルギーは入れてないが)。
ただ、外部面に木製建具を設えているのでどうしても完璧な気密を確保するのは難しく、完全な気密をとるのであれば、開口部はすべて既製品を並べるしかありません。
僕自身、気密はもちろん大事という前提の上で、木製建具にしか出せない空気感、オリジナルの中で過ごす心地良さを求めてしまいます。
依頼いただくお施主さんとはいつも何を大切にするか、たくさんお話しして仕様を決めていくので、気密は大切にしたい!という方は全振りで既製窓にしたりもしています。ただ、設計例として表に出すのはどうしても僕が好きな木製建具だったりしちゃいます。。。
上記の数値2つはあくまで数値。外皮面積、開口部仕様を数値化しただけなので、実際の空間の豊かさとは別。参考程度として考えるべきだと思います。数値を出すために計算時には方位に対しての窓を入力していきますが、その空間に対して豊かになる窓なのか、日の入りが適切であるかなどは何も表れてはいません。
いくら数値が良い、満たしているといっても空間が豊かでなければイメージされている数値以下の空間となるので、あまり数値に目を奪われないように気を付けるべきでしょう。