今年はいくつかの建物が完成し、そのうち一件は見学会を開催させていただきました。
また現在も二つの現場が動いており、来年春ごろ完成見学会も予定しています。
現在見積調整中や、図面検討中の案件もたくさん控えており、
今年以上に忙しくなりそうな気配。

ありがたいことに、年々ご依頼いただける数も増え、気がつけばほとんど休みなく走り続けている一年でした。一度止まっていた僕の事務所の建築計画も、ようやく来年初旬に着工へと進みます。
本当はもっと時間をかけて、ゆっくり検討したかったのですが、
お施主さんとの時間を大切にしていたらそんな余裕はなく「とにかくGOをかけなければ」と自分を奮い立たせています。
いつもなら選ばないようなおさまりや、試してみたいことも頭には浮かびますが、
今はまず“場をつくる”ことを先決。
自分のことは後回しにしすぎてきたな、とも思います。
最低限の場だけを整え、そこから先を考える。
今回はそんな進め方を選びました。
住宅も完成時に揃えすぎるのではなく、その時々で多少変化していける余白を検討していくことも大切だと話しており、まさに事務所はそのようにしようと思っています。
建築費の高騰は止まらず、この先も上がり続けることはほぼ間違いありません。
土地を購入して家を建てるという流れ自体が、そろそろ厳しくなってきていると感じます。
補助金を当てにしようとすれば、太陽光を載せなければならない、
性能を取らなければならない。
それ自体は構いませんが、施主の想いとは少し違う方向へ進まざるを得ない場面も増えました。
性能を確保するための仕様自体は、何も問題なく選択することも可能です。
断熱も省エネも大切なことだというのは、十分に理解しています
気密が重要であることもわかっています。
ただ、細かいところまで突き詰めていくと、
例えば僕自身は「気密はそこそこで良いのではないか」と考えています。
これは正解が一つある話ではなく、
設計者によっても、住まい手によっても見解が分かれる部分です。
だからこそ、一通りきちんと話をしたうえで、
最終的には施主と一緒に方向性を決めていくようにしています。
国の方針として何かを掲げるためには数値化することが簡単で、
一般ユーザー側からすればそれが正義だと見えがちになる。これはおうちの性能・補助金についてだけではなく、いろんなところでこのようなやり取りが散見されています。
選ぶ側からすれば、実際のところ分からないことが多いので、選択する方法としてはこういったことが当たり前だと勝手に思い、そこの比較に走ってしまう。
また売り手としてもそれを大きく出すことは簡単な「売り文句」にもなります。
「ただ、実際どうなの?」というところをもっと話し合って進める必要があると僕は思っています。
数値だけを追いかけるのではなく、その家でどう暮らしたいのか、何を大切にしたいのか。そこを共有したうえで選択する性能であれば、無理は生まれないと思っています。
僕たちのような個人設計事務所は、
木製の窓であったり、数値や性能だけでは語れない価値を生み出すことを大切にしていて、
そこに共感してくださる方々に支えられてきました。
だからこそ、「性能ありき一本」で進む建築のあり方には、
どこか割り切れない感覚が残ります。
それでも、時代の流れとして受け入れなければならない現実もある。
その狭間で考え続けながら、
それでもやはり、自分たちが信じる建築を続けていくしかないのだと思っています。
そして、こうして一年の終わりにあらためて振り返ると、
多くのご縁と、たくさんの対話に支えられてきた一年だったと感じます。
忙しさの中で立ち止まる余裕はあまりありませんでしたが、
それでも一つひとつの計画に向き合い、
一緒に悩み、考えてくださった施主の皆さまには感謝しかありません。
来年もまた、迷いながら、考え続けながらにはなりますが、
僕たちが大切にしていることを見失わず、
丁寧に建築と向き合っていけたらと思います。
本年も本当にありがとうございました。
どうぞ良い年をお迎えください。

